高出力ノイズ発生器、最大 18 GHz
Pasternack Enterprises, Inc.(パスタナック社)| mwrf.com 掲載 | 2015年7月号 Tim Galla 氏、RFアクティブ製品マネージャ、Pasternack Enterprises
PE8504 というアンプ内蔵タイプのノイズ発生器は、周波数 12 ~ 18 GHz、ENR 出力 15.5-dB の性能を持つ。
ノイズ発生器は異なる性質を持つ通信システムを評価するための実際的なテストツールとしてこれまで長きにわたり使用されてきた。実際のところ、加法性ホワイトガウスノイズ (AWGN)は多くの初期無線通信チャネルの創出に役立っており、システム設計時にチャネルを通して送信されるノイズ信号レベルにおける機械的、電気的、環境的効果を評価してきた。
しかしながら、無線システムが複雑になるにつれ、単純なアナログチャネルからより精緻なデジタル変調チャネルへと変わることで、より複雑なテスト機器が要求されるようになった。特筆すべきことは、信号減衰、マルチパスひずみ、干渉やその他の伝播障害といった現象を再現させる必要が生じたということだ。
それでもなお、この優れたノイズ発生器はリーズナブルな価格でありながら幅広い試験用途で適用可能だ。すなわち、ある通信チャネルにおけるノイズのモデリング、衛星通信(satcom)リンクの信号品質テスト、デジタル通信チャネルにおけるビットエラー率(BER)テスト、RFおよびマイクロ波ベクタネットワークアナライザ(VNA)校正、NF測定、そしてビルトインテストコンポーネントとして様々な機器の試験に使用されている。このほかのアプリケーションにも応用できるよう、Pasternack Enterprises社ではこのほど、適用周波数 2 ~ 18 GHz、異なるノイズ出力レベルを持った同軸AWGNノイズ発生器のラインナップを用意した。
ノイズ発生器とは、同軸コネクタ付き小型ケースにダイオードまたはアンプ付きダイオードが組み込まれた単純なタイプ、あるいはマイクロプロセッサ制御で、様々な付加性能がついたノイズ発生装置という複雑な構造のタイプがある。このうち冒頭のパスタナック社ノイズコンポーネントは前者のタイプで、小型アルミニウムケースにBNCまたはSMA同軸コネクタが接続されており、様々な測定システム環境において耐久性を持つ、頑丈な構造となっている。
本シリーズは10型番からなる(特性は表を参照)。周波数範囲は、それぞれ 1 ~ 2 GHz、2 ~ 4 GHz、4 ~ 8 GHz、8 ~ 12 GHz、 12 ~ 18 GHzだ。 中出力、および高出力で、過剰雑音比(ENR) 出力レベルは各々 15、30、32.5 dB となっている。高出力ノイズレベルのため、BERやNF測定といった、ほとんどの一般的なテスト用途に適用できる。反対にENRレベルが低いと用途は限定されてしまう。
このENR値は、NFメータやRF/マイクロ波スペクトラムアナライザの標準校正点にも密接に関連している。本製品の15-dB ENRタイプは、低雑音と高雑音指数のいずれの測定も可能という点で、最も多用途と言える。一方、30- または 32.5-dB のタイプは高雑音指数テスト環境に最適である。ノイズ発生器のVSWRはそれぞれ、1.20:1 または 1.35:1、立上/降下時間は最大1 µs と高性能。
すべての型番は、動作温度範囲 –55 ~ +85°C 、バイアス電圧 +28 V dcにおいて電流 25-mAである。BNCまたはSMAコネクタで、入力ポートはオス端子、出力ポートがメス端子だ。すべて米国に在庫しており、注文即日に出荷する。